関心のある心理学の領域
★生涯発達心理学:乳児期から高齢期までの発達理論や各発達段階の特徴について広く関心をもっている。初学者であってもわかりやすい発達心理学の本をめざして「手にとるように発達心理学がわかる本」を2016年に出版した。
★家族心理学とりわけ親子関係について関心をもって研究を行ってきている。
父娘関係:心理学を専門的に学び始めた院生時代に「娘から父親の魅力」(心理学研究55,289-295,1984)を発表した。しかしその後、本テーマでの研究が少なかったため、2012年NHK Eテレに出演し、娘と父親の関係について解説をおこなった。今後も父娘関係・母娘関係・父息子関係・母息子関係の特徴について明らかにしていきたい。
親意識の形成過程に関する研究:初めて親になることは、どのような影響を私たちに与えるのかを4年間にわたる縦断研究によって明らかにし、その研究成果を博士論文として提出した。とくに夫婦関係が親になることによってどのように変化するかを検討した。その結果、親密性は夫婦共に低下し、妻は頑固になり夫は我慢することが多くなっていくことが明らかになった。
中年女性とその実母との関係:寿命が延びるにつれ、中年女性の実母はまだ元気でいる場合が多くなってきている。その母娘関係はかつての関係性とは変化してくると考えられるため研究を実施した。その結果は「中年期女性の父親・母親への感情と幸福感との関連」と題し目白大学心理学研究紀要、6,1-14、2010で報告した。
こうした親子関係に関する研究成果は2014年「親と子の生涯発達心理学」(勁草書房)と題し単著として一冊の本にまとめることができた。(amazon)
★人格心理学:フロイトをはじめとする人格心理学の理論を大学で授業では教えてきている。近年は「応用社会心理学(自我・自己)」を担当し、その中で日本人としての自己はどのように形成されているのかなど、文化における自己に関心をもっている。
★ポジティブ心理学:2003年に「ポジティブ心理学」が誕生して以来、勉強会なども開きポジティブ心理学に関心をもっている。今年はBarbara Fredriksonが提唱するPositive emotion とレジリエンス(エゴレジリエンス)との関連を研究している。
★発達障害児支援
学校現場や保育現場における発達障害の子どもたちへの特別支援の必要性から「臨床発達心理学」という視点が大切な時代になってきている。臨床発達心理士の立場から発達障害の子どもと親の支援にも関わっている。
最近、特に関心をもっておこなっている研究
★食ライフスタイルの研究
「2世代間の母子関係が子どもの食行動に及ぼす影響」
2013年より科研費をいただき研究を行ってきている。2013年は,日本人大学生とその実母に調査を実施し,両世代の食ライルスタイルと親子関係を検討した。2014年は幼児をもつ母親とその実母に対し,2015年は韓国の大学生とその実母にアンケート調査を実施した。その結果,健康に気を使い,コンビニなどの利用が少ない食ライフスタイルをとっている母子の場合、親子関係が良好であることが明らかになった。それに反し,コンビニや外食が多い食ライフスタイルをとる傾向が強い母親とその子どものペアーは,両者の関係が対立的であることが明らかになった。2016年度は,韓国と日本との国際比較調査の結果を横浜で開催されたThe 31st International Congress of Psychology にて発表した。
Onodera、A. & Kawano、R.「The comparative study on the dietary life style between university students and their mothers in Japan and Korea」 2016,July, at the 31st International Congress of Psychology
2016ICP小野寺(PDF)
小野寺敦子・河野理恵(2015).母娘2世代間における意識の検討(1) 日本心理学会第79回大会
小野寺食ライフ幼児を持つママと実母(PDF)
小野寺敦子・河野理恵(2015).大学生の食ライフスタイルと親子関係 日本発達心理学会第26回大会
大学生の食ライフスタイルと親子関係(PDF)
★エゴ・レジリエンスの研究(ER89英文尺度/日本語版尺度)
エゴ・レジリエンス(Ego-Resilience:ER)は,Jack and Jeanne Block が提唱した概念で,「状況に応じて柔軟に自我を調整し,日常的なストレッサーにうまく対処し適応できる能力」と日本語では定義されている。清水弘司先生から提供された資料をもとに,2004年から勉強会を開始した。以後,ERを測定する日本語版尺度を作成し,日本人を対象としたエゴ・レジリエンスの実証的研究とエゴ・レジリエンスの概念の社会的な周知や啓発を図る活動を続けている。
小野寺ゼミ
学部のゼミ生は4年生13名・3年生13名と学科で一番多くの人数が集まっているゼミです。4年生は就活と卒論を共に頑張っています。3年生前期は心理学の学会専門誌が読めるようになることを、後期はSPSSによる解析方法などを中心に学びます。時には皆で、たこ焼きパーティをやったり、クリスマス会をやって楽しく、かつ実りあるゼミ活動を目ざしています。
目白大学心理学研究科 現代心理学専攻
大学院小野寺ゼミでは、どの院生も自分のテーマに合わせて真剣に研究に取り組んでいます。これまでの大学院ゼミ生の修士論文のタイトルは次のようです。
博士課程 | ||
2014年度 | 畑 潮 | 日常生活の適応の観点から見たエゴ・レジリエンスの実証的研究 |
修士課程 | ||
2016年度 在籍 |
山田健人 渡部真太朗 |
大切な物との関わりがポジティブ感情に与える影響―大切な物の心理的機能の検討から― 中年期男性の食ライフスタイルに関する研究 |
2015年度 | 伊藤奈菜 小川侑生 |
大学生の心理的自立に影響を与える要因の検討 大学生の仮面よい子の研究-父親・母親・友人への適応の視点から- |
2014年度 | 近藤彩子 杉本恵子 塚越 碧 |
乳児をもつ父親の育児に実親の性役割感が及ぼす影響 食事スタイルが日常の満足感に及ぼす影響-対人関係の関連から- 過剰適応傾向の社会的問題解決方略が抑うつに及ぼす影響-日本人大学生とイスラエル人大学生との比較から- |
2013年度 | 元井沙織 関口恭輔 |
片づけ行動に及ぼす心理的要因の影響 身体的活動をしている人のフロー体験について |
2012年度 | 黒澤瑞希 森 泰子 |
大学生の親への感謝-よい子願望からの検討- 傷つき体験からの立ち直りにレジリエンスが与える影響-親の養育態度との関係から- |
2011年度 | 大松由利恵 熊 思嘉 |
中年期女性のジェネラティビティとライフスタイルの関係に関する研究 台湾と日本の中学生の学校適応に関する研究-樹木画テストによる検討- |
2010年度 | 三好園子 | 親子関係からみる大学生の精神的健康とEQの関係 |
2009年度 | 早山明美 唐橋在太郎 森垣信子 関口 徹 |
乳幼児をもつ母親の生き方の志向とwell-being 大学生における読書好きに関する心理学的研究 親の養育態度が両親への感謝に及ぼす影響 発達障害児が家族に与える影響 |
2008年度 | 石合志保 森 巌 |
障害児を持つ父親の『語り』に関する研究 日米青年の自我同一性と相互独立的-相互協調的自己観 |
2007年度 | 坂本ひろ子 長谷川直子 |
地域子育て支援者に関する研究 育児における母親の「あせり」の諸要因 |